2011年10月31日
旅立つ その8
見開いた目は乾ききり
君の舌驚くばかり長くとび出し
泣くのではなくて悲鳴をあげ続け
動かぬ君の名を呼んでいる
生き終えてすべての機能停止して
君は誇れる体躯をさらす
悲しむと君が天国行けないと
君のお気にの先生は言う
2011年10月30日
おもちゃには遊ばれない
2、3回遊べば良いほう
見向きさえしないおもちゃがバケツ一杯
ボールなど跳ねて転がりめんどくさい
君は冷ややかほったらかしで
ガタガタと転がり動くおもちゃには
いらっとしたか君は無視決め
君のため空白にした人生を
中途半端に塗りつぶしてく
2011年10月29日
趣味…読書
新聞を読んでる横で寝てた君
起きてチラシが唇に付き
うつ伏せで本読むわたしの目の前に
君立ち視野の独占をする
読んでいる本の上来て 君 口を
置いて寝るからパリパリになる
君だけはわたしの時間つぶしても
歓迎されて抱き締められて
2011年10月28日
2011年10月27日
指先の快感 その2
ねじまいたしっぽの長い毛抜いてみる
差し込んだ指の匂いを嗅ぐ
滑らかで指にくっつく感じして
君のお尻の穴のまわりは
毛の薄いお腹まわりの君の皮膚
つまむとしっとり指は幸せ
耳の中 指を突っ込みそうじする
しつこくすれば君噛んでくる
2011年10月26日
指先の快感
耳の毛のビロードのような手触りが
一番好きだったかもしれない
手の中に包める君の肉球は
ぷにゅりとしててかさっとしてて
左腕付け根に小さなつむじある
指でなぞれば毛並逆立つ
キクラゲにたとえた君の唇を
ビロンビロンと揉んで触って
2011年10月25日
今日はお迎え記念日
2011年10月24日
掃除炊事に家事育犬
しかたなくやってた日々のあれこれが
君がいるならガゼン意味持つ
掃除機をかけ終えたなら散歩だと
君は廊下に出てわたし待つ
君がいるせいにされてはいけないと
手抜きしないで夕食作る
夕食を午後の4時には作り終え
君の散歩の長きに備える
2011年10月23日
2011年10月22日
努力と我慢の賜物
フードボール食べてる途中出した手を
怒りもせずに君は待ってる
ベッドには乗らないように言い聞かす
寝てる隙つき君上ってる
慌てない大声出さない走らない
君を不安にさせないために
よその子が恨めしいほど羨ましい
憎んでしまう前に目そらす
2011年10月21日
手乗り犬とR君
Rくんの閉まったドアの前で君
開けと控えめウフと一鳴き
Rくんは君が昇ってこれるよに
ベッドに段差つけて待機す
手乗り犬力抜けてる後ろ足
片手に君を乗せてRくん
Rくんにかわいがられる君が好き
君かわいがるRくんが好き
2011年10月20日
眠りたいのに眠れない
立ったまま座ったまま寝る
毎日を君は睡魔と闘い続ける
へそ天も横向きで寝ることも無理
伏せの号令君には酷で
伸びの後腕立て伏せの格好で
君はうつむきうとうとしてる
六百の涙を溶いたシャボン玉
君がたくさん虹色の中
2011年10月19日
あふれこぼれる
あの朝に時を戻して君のそば
行って絶対助けてみせる
「お母さんありがとうもう十分だ」
言ってる気がしたわたしが言わせた
一瞬で死に振り切った者がいて
わずかな望みつなげた者いる
君生きて生きて生きてほしかった
変でもなんでも生きてほしかった
2011年10月18日
一に観察二に観察
毛の生えた動物は皆どこかしら
君に似たとこ1つはあって
君の舌 水に出し入れするだけの
効率悪い飲み方と知る
色匂い量と形状確かめる
君のウンチは貴重な資料
甲板の上をクジラが覗くように
テーブルごしの君の目ぎろり
2011年10月17日
ブログの理由
知識なく気持ちの余裕さらになく
君のブログはついに開けず
本当は君の成長記録する
ブログを書いて残したかった
生きてたら会えたであろう人の数
どうかブログで会えますように
繰り返す思いを歌に収めては
君のファイルを完成していく
2011年10月16日
階段は抱っこです
抱っこした君を落としちゃいけないと
腹筋 力を入れ腰かばう
抱っこして昇り降りする階段を
君は緊張手足つっぱり
抱っこから降りて廊下を歩いてく
耳の角度をかわいく保ち
一番の不幸背負いはしてないが
生きる根源見失ってる
2011年10月15日
見張り番
土手道の入り口君は座り込む
関所で人を定めるように
ボステリののんちゃん散歩せわしなく
いつものコース猪突猛進
草刈って土手道広くなり君の
目に草当たる心配も減り
どんな死もこれから素直に受け止める
でないと君を失くした意味ない
2011年10月14日
一緒に寝てる
眠る君わたしの顔のすぐそばで
プシューと音がお尻からした
眠る場所さがして君はたどり着く
わたしのお腹またいで乗っかる
これもまた腕枕というのかな
君はあご乗せわたしの右に
寝そべったわたしの体に
二度と君乗ることはない重さは遠く
2011年10月13日
お蔭様
赤むけの皮膚さらすような生き方に
君寄り添わせ守り守られ
人付き合い苦手なわたし君いれば
心静かに顔上げられる
引っ越して13年のこの土地で
ご近所付き合い君が始める
君の名で送った募金いずこかで
生命を誰かにつなげてほしい
2011年10月12日
お風呂でシャンプー
排水口シャンプー後の君の毛の
収獲高に得る達成感
シャンプーが少しは君が好きになる
ためのリフォーム計画をする
あたたかい床や柔らかシャワーとか
風呂のリフォーム君間に合わず
あの時にすべてを失くし
思い出と呼べることなどなくて今日まで
2011年10月11日
お父さんバトル
父さんは子犬の扱い下手くそで
君かわいそうわたしぶちギレ
父さんに連れられ君は散歩出る
わたし来るのをじっと待ってる
スーパーの入り口右が待つ場所と
憶えて君はまっすぐ向かう
生きているそれでもわたし生きている
逝った君への愛情だけで
2011年10月10日
信頼関係
動物は決して裏切ることないと
君は信頼日々更新す
食卓の上の匂いを嗅ぐ君は
人食べる物と区別ができて
入ってはいけない場所で君に指示
「よそのおうち」で歩みは止まり
嬉しさを抑えきれないマウントは
わたしにだけと君と約束
2011年10月09日
赤ちゃん時代 その5
ここにある物なら全部かじっても
いいけど君よ飲み込まないで
人いれば君は喜びエンドレス
眠らないまま遊んでしまう
部屋を出て廊下歩くの怖い君
タオルに乗せて引きずっていく
ひらひらと目の前スリッパ動いたら
噛みつく君の気持ちもわかる
2011年10月08日
いたって快調
早歩き足のリズムがすぐ狂い
後ろ脚浮きつんのめりそう
ちょい体左に曲げて走る癖
すぐに力は尽きるのだけど
網の上歩いていると後ろ脚
君は何度もスポッとはまり
楽になる術ならあるが
君の死を真正面から見据えていたい
2011年10月07日
程度の問題
後ろ脚しっかり立てるようになり
君はしきりに立ってアピール
前足で組みつかれたら痛いほど
力は強く離さない君
君といたこの空間で思い出を
体を丸め反芻してたい
君といた時は果たして現実か
2年の短さ幸か不幸か
2011年10月06日
ごはんは1日3回
デジタルでフードを量るグラム数
君の体重11キロで
部屋の角君に向かって吹きかける
フードの匂いごはんの合図
食べ物の匂いで君はこちら来て
お座りお手の体勢で待つ
ふやかして練ったフードを一口に
丸めて君の口放り込む
2011年10月05日
フレブル讃歌
人の手がたくさんいるからフレブルは
世界一可愛くできている
きっちりとラジカセの上君が乗る
黒い小さなかたまりふたつ
お昼寝をするよと声かけ君待つと
後からトコトコこの部屋に来る
可愛くて幸福だったことだけを
憶えておくのはわがままだろう
2011年10月04日
旅立ちの直後に思う その2
地面から5センチ上を
人の脚借りたみたいにガクガク歩く
外界を帽子で遮断したわたし
ポンと車よ轢いておくれ
家中を片付け掃除して回る
君の不在に押しつぶされる
玄関を丁寧に掃きゴミ集め
思い出集め君の毛つまむ
2011年10月03日
旅立ちの直後に思う
あの時を目指して君は生まれきた
終わればなんとむなしいことよ
寒空の真夜中の道走り抜き
闇に輪郭溶けてしまいたい
体力のないわたしには一日中
君を泣くことさえもできない
出口ない君の話は明日から
わたし1人の胸の内秘め
2011年10月02日
貴重な吠え声
泥棒と叫ぶと君は吠え立てる
立ち向かうべき敵と覚えて
外暗くガラスに映ったわたし見て
君怪しいと吠え訴える
散歩中天敵猫に遭遇し
初めて外で激しく吠える
家の外鳴き声したら走ってく
わたしはせめてワンコ見てたい
2011年10月01日
巡り会う人たち
リハビリで土手道歩くおじさんは
君良い犬と太鼓判押す
君を撫で愛犬失くした寂しさを
癒して微笑み作る人あり
一度でもかわいがってくれた人
君は憶えてお調子に乗る
君の死を聞いて言葉を失って
涙あふれた人 忘れない